雪解けの水に潜む、紅
「酷いな。」
「これそれにしてもいつまでティプターのままなのだろうか。
意外と気に入ったとか?
「怪我して戻ってきた奴とかがいるからな。」
油断は出来ない、と言うことか。
「ねえDD。あなたは睡眠薬って効く?」
「あ?いや、効かない。」
「よかったぁ。ガスマスク一つしかないのよね。」
念のためにと持ってきた茶色のガスマスクを取り出す。
どうするつもりだ、といいたげな彼の視線に先ほどの爆睡草をちらつかせる。
「でかいな。」
「巨人に使うつもりだったけれど、人間に使おうかしら。」
私の言葉にDDはげっそりした表情を見せる。
こんな大きな爆睡草、相当効くはず。
もう直ぐ頂上だ、というDDの言葉に期待を寄せる。
だけど着いたところはとんでもない地獄だった。
火傷、刺し傷、死体。
幾多もの患者で溢れかえっていた。
魔法で治そうと思っても中々難しい数だ。