雪解けの水に潜む、紅
「金の鍵は、心だ。」
心の中・・・。それは。
「心を欲しがるのは蜘蛛!」
先ほどの映像にいた蜘蛛の中にきっと一匹本物がいるはず。
それが金の鍵を持っているのかもしれない。
来た道を駆け戻ると待ち構えていたように蜘蛛がウジャウジャいる。
気持ち悪いと思っている時間はない。
そろそろ夜が来る。そうしたらタイムアップ、ゲームオーバーだ。
DDの変化も長くは持たない。見つかってしまえば捕らえられてしまうかもしれない。
どうしたら本物か判るか。
私は担いでいた物に触れる。一か八か、やってみるしかない。
ガスマスクを装着して、そこにいた蜘蛛のど真ん中に爆睡草をぶち込む。
映像だったら寝ないだろう。
本物だけが眠ってしまうはず。
モクモクとした黄緑色の煙が消え、視界が晴れてきた。
映像の中の蜘蛛たちは何事も無かったかのように動き回っている。
だけど。
一匹だけ天井から落ちてきた蜘蛛が居る。
全ての目は閉じられ、あまりの強力さに体が痙攣してしまっている。
蜘蛛の首にそれはあった。
どうやら体の一部のようで、私はポケットに入っていた石盤の欠片でそれを千切った。
痛みで目を覚ますかとも思ったが、深い眠りに入ってしまっているようでピクリとも動く気配は無かった。
また最上階に駆け上がると流石に息も切れ切れだ。
早くしなければ。
どちらの扉か見渡していると、二つの扉の真ん中に小さな鍵穴があるのを見つけた。
ティアラは誰かに見つからないようにしている?