また明日…また明日…


「 サエ見て。空にトラみたいな雲があるよ 」




敬介が受話器越しに言った。



「 えー、どれー? 」


「 ほら、でっかい雲あるじゃん?その横 」


青く晴れた大きな空。


どんなに離れていても


同じ空の下で暮らしている。


当たり前かもしれないけど


私には大切な事の一つだった。




敬介が言う、


「 でっかい雲の横のトラみたいな雲 」

は、私には人魚っぽく見えたけど


言わないでおいた。


何故かは私にも分からないけど、


なんだか否定しちゃうと


敬介が可哀想な気がしたからかも。



こんなたわいない話が出来るだけで

幸せだった。




そう言えば、もうそろそろ1ヶ月記念日だ


敬介覚えてるのかなー?





1ヶ月も続くなんて思ってもみなかった。



サイトで知り合った、ただの他人が



今では


かけがえのない存在になっている。


人生本当に何が起こるか分からない。



このままずっと、



敬介との赤い糸が切れないような気がする。


ずっと、ずっと、離れない気がする。

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