あなたのキスで世界は変わる


お母さんがどんな病気で、どれくらい前から病気だったのか憶えてないんだけど


とにかく毎日苦しそうだったのは憶えてる。


息切れしながら私たちに笑いかけるお母さんを見るだけでも辛かった。


心配かけちゃダメだ。

そう思って私はいつも笑っていたけど。


「ママぁ〜っ、うぅっ…」


真未の方は毎日泣いてお母さんを心配させてた。

頭を撫でてもらって、弱い力で抱き締めてもらって。


…すごく羨ましかった。


でも“私だけでも…”って、小さいながらに思っていたから、泣いたり甘えたりなんてしなかった。できなかった。

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