あなたのキスで世界は変わる


それから間もなくしてお母さんは天国へ行った。

小学校に通い出して二年目に突入してすぐのこと。


悲しかったけど、真未が泣いてると私は泣けなかった。


妹の涙が私の心の悲しさを冷ややかなものにした。


うざい。なんでアンタが泣くの?

あんなに毎日、お母さんに触れていたのに。


お葬式をこっそり抜け出して

私はひとりで泣いた。


真未の泣き声があるとどうしても怒りがこみ上げて来る。


お母さんの死をちゃんと悲しみたかった。


孤独に、なぐさめてくれる手も温もりもなにもない場所でしか私は弱さを出せなかった。
< 124 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop