あなたのキスで世界は変わる


それから約一年後にお父さんは由紀子さんと再婚した。


早すぎたんだ。

お母さんの死から、再婚まで。


そんなに経ってないのに。

…お父さんはお母さんのことを本当に愛してたの?


どうして違う人と笑っているの?

お母さんは苦しみながら死んだのに。


もしかして、由紀子さんがいたから帰りがいつも遅かったの?


『新しいお母さんだ』


新しいお母さん?

なに言ってるの、お父さん。


私にお母さんは一人しかいないんだよ。


当たり前のごとく、由紀子さんを受け入れることがどうしてもできなかった。


それどころか、お母さんを忘れて笑うお父さんと、お母さんの存在を消そうとする由紀子さんに嫌悪感しか生まれなかった。

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