あなたのキスで世界は変わる


こんな女と一緒の空気吸ってるんだと思うと息も止めたくなる。


てか、止めたい。止めてよ。止めて。

死にたい。



「気分悪いから保健室行くわ」


「あら、大丈夫?」


「ん、へーき」



立ち上がって教室を出ると、扉の前で一瞬だけ立ち止まって床のなんでもない傷を無意味に見つめる。


あら、大丈夫?だって。


馬鹿にしないで。
1ミリもそんなこと思ってないくせに。


心配してるフリなんかしないで。

鳥肌がたつ。



「…ふっ、笑える…」



髪の毛をクシャリ握りしめてから歩き出した。


胸が張り裂けそうな悲しみを味わったことのある人と、そうでない人。


私にはわかる。


先生は味わってる。

あの女は絶対に体験したことなんてない。


だから簡単に人をキズつけられるのよ。


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