あなたのキスで世界は変わる


出てきた美味しそうな朝ごはんが酷く憎たらしく感じた。


その時の私は綺麗なものが汚く、

そして汚いものがもっと汚く見えていた。


なにもかもに絶望していた私は次第に家に帰らなくなった。


先生に家のことを何気なく話したら「好きなだけいていいよ」って言ってくれて。


その言葉に甘えた私は家族を捨てた。

捨てられる前に。


だから帰らない。


「ただいまー」


先生の家に、先生がいる家に

私は帰る。


ここが、私の世界で、唯一の居場所なんだ。

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