あなたのキスで世界は変わる


星空の下を走る。


…綺麗な星…。

沈黙も心地よくなるくらい、穏やかで静かな夜。


「ほら、窓開けてみ」


助手席の窓が全開になる。

冷ややかな風。ほのかに潮の匂いがする。


「わぁ、海だ!」


見えた景色に、まるで子どもみたいにはしゃいでしまう。


海はお母さんとの思い出が詰まった場所。


お母さんと一度だけ二人だけで来たことがある。

そう、今みたいな夜の海に。


『ママ!キレイだねっ』

『そうね』


お父さんとケンカしたお母さんは幼い私の手を取って家を出た。真未はすでに熟睡していたし、私だけを連れ出した理由はそれぐらいだけど…。


お母さんを独り占めできて、嬉しかった。


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