あなたのキスで世界は変わる


お母さんは悲しそうな顔してたけど、
私は笑わせたくて自分が精一杯に笑ってた。


最後まで、お母さんを笑顔にすることはできなかったけど。


「海…」


先生が車を近くの駐車場に停めた。

そして砂浜を歩く。


その度になる砂の音、波の音。

私は海の全てが好きだ。


「前にお母さんとふたりだけで来たことがあるんだ」

「知ってるよ。前に聞いた」

「そうだっけ…?」


だから連れて来てくれたの?


足首まで海に入った私は瞳を閉じて波の音だけを聞いた。


…前も、こうしてたっけ。


両手を大きく開けば、すごく気持ち良かったのを憶えている。


そして目を開けた。

するとそこにはキラキラ輝く無数の星たちが。
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