あなたのキスで世界は変わる
確か…木村だっけか…?
必死に謝る彼女に「いや、大丈夫だから」ってまた歩き出そうとしたら「あの!!」ってすごい大声で引き止められた。
え、なに…⁉
びっくりするわ、まじで。
「あのっ…」
「ん…?」
「な、なん…なんの…」
噛み噛みで、顔を真っ赤にさせて話す彼女の目線は床に一直線。
なんなんだ…?
「なっ、なんの、音楽を、き、聞いて、るん、ですか⁉」
「…へ?」
覚悟を決めたように声を張り上げたのに、質問はあまりにも普遍的で、逆にびっくり。
そんな私に気づいて相手は「ご、ごめんなさい」って泣きそうな顔をした。