あなたのキスで世界は変わる
キス10*夜空に咲く菊の花
「ケガしないように夏休みをエンジョイしてくださいね」
先生のその言葉で一学期は幕を閉じた。
…やっと終わった。
カバンにプリントやらなにやらを詰め込んでいると「あのォ…」と、遠慮がちな声が。
そちらを見ると頬をほんのり赤くした木村。
「なに…?」
「あのこれ…約束してたチケット」
「ああ、さんきゅー!」
受け取るとサイフの中に入れた。
それで用は済んだと思ったんだけど、彼女はまだ何か言いたそうにもじもじしていた。
「…どうしたの」
あまりに露骨すぎて……
こちらから言いやすいように聞いてあげる。
チラッと私を見上げると彼女は口をぱくぱくさせながら、何かを言っている。