あなたのキスで世界は変わる
あの時、キスして、先生との関係が壊れればいいって思った。
先生と生徒の関係が、私たちの世界がすべて変わればって思ったの。目を閉じている間に。
でも先生の傷は癒せずに、
世界は変わったけど、希望はなかった。
苦しかったんだ。
目の前で苦しむ先生を見るのが…
怖かったんだ。
叶わない恋をしていた自分が。
それを認めることが。
「ごめん、私…」
その刹那、ポケットの中のケータイが鳴る。
見ると先生からの着信だった。
佑夜と目配せしたあとに、電話に出る。
「もしもし…」
『小川?』
声を聞いただけでこんなにも泣きたくなる。
心の底から好きなんだ、先生が。