あなたのキスで世界は変わる


「先生と縁、切れた?」

「………」


予想もしなかった大樹の言葉に頭の中が一瞬だけ真っ白になる。歩いていた足を止めた。


え…?なんで…?

なんで大樹が先生とのこと知ってるの?


「何回、可奈子のこと守ってきたと思う?先生とキスしてるとこ何回も見たし、その度に生徒が近くに来たらさりげなく遠くに誘導してたの、俺」


二歩遅れて同じように大樹も止まる。

家はもうすぐそこだと言うのに。


「仁美先生とはちょっと仲良いから、先生と付き合ってるって知ってたし。可奈子と先生の関係も複雑なんだろうなーって思ってたよ」


大樹は全部知ってたってこと?

知ってて黙ってて、私たちのこと隠してくれてたんだ。


そう、だったんだ。

知らなかった。


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