あなたのキスで世界は変わる


先生の顔が見られない。

見たらダメな気がする。


ーーもう戻れないところまで来てるのかもしれない。



「小川、今日誕生日だろ?」


「え?」


「おめでとう」



覚えててくれたの…?

やばい……嬉しい。


てゆうか先生に言ったことあるっけ?


無意識に記憶を辿る。



『私が18になったらなにくれんの?』


『なにが欲しいの?』


『………愛情』


『ぷ!…ごめんごめん。わかった。待ってろ』



睨んだ私を先生が小さいコをあやすように背中をさすってキスしたんだっけ。


愛情。

そうだ。私はずっと愛に飢えてた。


先生の隣にいて初めて愛に触れられると思ったのに。


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