あなたのキスで世界は変わる



しばらくして佑夜が教室にやって来た。



「おはよ小川。昨日、なんかあったの?」


「おはよう。ごめん…行けなくなったから…」



目を合わせられない。胸がザワザワしてる。



「それは…メンタル的なことで?それとも単になんか用事ができたから?」



佑夜の諭すような優しい口調に泣きたくなる。

クッと涙を堪えて彼の目を見た。


悲しそうな、でも私の言葉を待ってくれている。

…言わなきゃ。



「メンタル、的なことで…」



ちゃんと言わなきゃ。


佑夜を傷つけないって思っていたのに
私の心が弱いせいで、結局…



「そっかぁ!先生となんかあった?」



私の正面からフェイドアウトするように横に移動した佑夜。

笑顔が苦しい。



「あの…」


「あ、やっぱ今の質問なし!…聞きたくねーや」



はは!と笑う佑夜に、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけれど。



「ごめん」



この言葉以外かける言葉が見つからない。

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