あなたのキスで世界は変わる
「当たり前でしょ?私はそんな要領悪い女じゃないわ」
ついこの間まで完璧だと思っていた仁美先生が、ここまで悪女だったなんて。
本当に、心の底からムカつく。
でもそんな仁美先生だったから
私は心置きなく先生を好きになれた。
「先生、私先生が大嫌いです」
「私もよ」
「でも安心した。先生みたいな綺麗な人でも醜いところあるんだって。…失礼します」
頭を下げて走った。先生のもとへと。
…どこか怖かったの。
あんな素敵に笑う天使みたいな仁美先生が、あまりに完璧すぎて。
だから先生もあんな馬鹿なほど骨抜きにされて、抜け出せないでいたんだって思っていたから。
先生を好きだと認めたくなかったのは、仁美先生には絶対かなわないと思っていたから。
でも仁美先生が私を睨みつけたり、こんな風に裏の顔があって、私はもう先生のこと怖くはなくなった。
とても人間らしく思えたから。
私と同じなんだって思えたから。