あなたのキスで世界は変わる


「なに急に…」

「それ見てたろ?」


写真を見つめながら話す。

時計の針の音がやけに大きく感じた。



「5歳の時に親が離婚して、おふくろに俺と姉貴はついて行ったんだけど、おふくろも去年死んだ」


去年。まだ間もないんだ…。

きっと、こいつの心はまだ傷が癒えてない。


「父さんとは連絡とれねーし。だから姉貴が俺の世話をしてくれてる」


目が合うとニコッと笑ってみせたけど、やっぱりこの人の笑顔はたまにウソくさい。


初めてこいつを見た時と同じ顔だ。

佑夜も寂しいのかな。


「早く一人前になって、姉貴の世話になるのやめたい。じゃねーと姉貴…結婚とかでなくね?」

「大きなお世話よ」


その声に2人とも驚いた。

仁王立ちしたお姉さんがそこにいたから。

< 50 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop