あなたのキスで世界は変わる
「なに急に…」
「それ見てたろ?」
写真を見つめながら話す。
時計の針の音がやけに大きく感じた。
「5歳の時に親が離婚して、おふくろに俺と姉貴はついて行ったんだけど、おふくろも去年死んだ」
去年。まだ間もないんだ…。
きっと、こいつの心はまだ傷が癒えてない。
「父さんとは連絡とれねーし。だから姉貴が俺の世話をしてくれてる」
目が合うとニコッと笑ってみせたけど、やっぱりこの人の笑顔はたまにウソくさい。
初めてこいつを見た時と同じ顔だ。
佑夜も寂しいのかな。
「早く一人前になって、姉貴の世話になるのやめたい。じゃねーと姉貴…結婚とかでなくね?」
「大きなお世話よ」
その声に2人とも驚いた。
仁王立ちしたお姉さんがそこにいたから。