あなたのキスで世界は変わる
「ありがとう」
心の中にあるムズ痒いものを誤魔化すように佑夜の洋服を握りしめた。
先生以外のぬくもりを初めて受け入れた。
あの人の優しさは適当だけど
こいつの優しさは真剣だ。
素直に嬉しい。
「あ!!」
「なんだよ、急に大声出して…」
「ごめん、忘れてた。Tシャツに血がついちゃった」
なりふり構わずTシャツを握りしめていたけど、思えば手を切ってたんだった。
「なにかと思えば…そんなこと?」
「なによ、それ」
「いーよ、シャツくらい」
柔らかく笑う佑夜が私の頬に手を伸ばす。
触れた手はやっぱり優しい。