あなたのキスで世界は変わる


「せ、先輩…?」


「おっせぇーんだよ!!俺を待たせるなんて図々しい女だな…!!!」



先輩とのデートに少しでも遅刻すると近くのトイレに押し込まれ、怒鳴られながら殴られたりした。


だから命の危険すら感じていた。


体がだるくてそんな気分じゃないのに無理やりに抱かれたり。


他の男と話せば私が殴られる。
俺の女に手を出すなって相手を殴るんじゃなく、私を。


…とにかく最悪だった。


「なんでそんな寂しそうなの?」


「は?」


「小川はいつも威嚇してるみたいに笑わねーよな」



放課後の教室。

最後まで残っていると先生が私の前の席にまたがるようにして座って来た。


…田中先輩が校門前で待っているのが教室の窓から見える。



「どーでもいいでしょ」



先輩に会いたくない。

もう殴られたくないし。


別れたいって言ったら昨日めっちゃ殴られた。

死ぬかと、思った。


どうせなら殺してくれた方がよっぽどマシだったのにな。


どうやっても先輩からは逃れられないんだ。

もう自分で死ぬしか手段はないのかも。


「この傷どうした?」


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