あなたのキスで世界は変わる


腕をつかんでそこに場違いのようにある痣を見て先生が言う。

咄嗟にその部分を隠す。


ーー本当は身体中痛いんだよ、先生。



「助けて…」



なんて言えなかった。



「関係ないでしょ…」


「あるね。オレ、お前の担任だから」



担任だからなんだっていうの?

ムカつくから話しかけてくんな。


…助けを求めてしまうじゃん。



「…かーなこっ」



突然聞こえたその明るく狂った声にカラダが硬直した。
頭にガーンと衝撃が走る。


下の名前、この人が大切そうに呼ぶからキライなんだ。


やば…早く帰るべきだった。



「せ、先輩…」


「遅いから迎えに来たよ。行こ?」



微笑みながら近づいて来る。
笑っているようで、目が笑っていない。


怖い…!

< 69 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop