あなたのキスで世界は変わる
「ふぁあ〜」
大きくアクビをしながらザワザワした昼休みの廊下を歩いた。
ずれた黒ぶちの眼鏡を人差し指であげる。
みんなが変なものを見る目で私を見るけど、そんなことも気にせず堂々と歩き進める。
あー、だるい…。
キャハハ!と耳障りな女子の声と共に彼が今朝ぶりに姿を見せた。
あ……
「あ、おはようございます。小川さん」
先生…
昨晩とは違ってのほほーんとした穏やかな顔の先生が私に微笑んだ。
「………」
「今登校ですか?」
白々しい先生の演技。
爽やかな笑顔がすごく汚らしいよ。
…とは言わずに、先生を囲む女子たちに一瞬だけ目を細めてやると、なにも言わずに教室に入った。
「小川さんって怖くない?」
「なに考えてんのかわかんないしね」
ふん。
あんたらに私の考えがわかられたら
…普通にイヤなんだけど。