乙女桜〜誠の武士〜
嘘
やっと行ったわ…
斎藤の気配を感じなくなった陽凪は、
布団から起き上がった。
腕の傷はもう跡形もなく消えている。
「やっぱり…。
こんなもの見せられないわね。」
陽凪は腕に包帯を巻くと、
きつく縛り上げた。
…それにしても、
まだ長州が私のことを探していたなんて
しかも、今日襲ってきたということは
私が新選組にいることもばれている。
奴らからすれば、
例の力も持ち、新選組の情報をも
握っている私は格好の獲物…。
私に安らぎなんてないのね…
陽凪は少し着崩れた着物を正すと、
自室を出た。
…まだ出て行くときじゃない。