≪子猫のチロ≫
≪子猫のチロ≫
子猫のチロは女の子
優しくて
いつもご飯をくれたり
遊んでくれるお母さんが大好きです
でも…
お父さんは
あまり好きではありません
いつもフラフラしてて
働かなくて
お母さんが持ってきたチロの食べ物を取ってしまうからです
たまに機嫌が悪いと
お母さんに八つ当たりもします
チロは悲しく見つめてます…
チロは時々
仲の良いオジサン猫のファンにその話しをします…
ファンはいつも優しくチロを舐めてなぐさめくれます
チロは最近
“ファンがお父さんだったらにゃ~…”
と考えてしまう事があります。
チロはその日もファンとお話しをしておうちに帰ってきました。
“ただいにゃ~”
と言って縁側の下のおうちに入って
びっくり
“お母さんどうしたんにゃ”
そこには痣と傷をペロペロ舐めながら横たわるお母さん猫の姿が…
“チロおかえり”
お母さん猫は半身をもちあげ、チロを見ながら話しはじめました。
“今日はね…ご飯の魚を取ってくるとき人間に見つかっちゃって、棒で叩かれて取ってこれなかったの…
そしたらお父さんが怒って…爪で、シャーッて…”
チロは怒りと悲しみで涙を流しながらおうちを飛び出してしまいました…
“あっ…チロッ…どこいくの…チローッ”
お母さん猫の声はチロにはとどきません…
涙を流しながら、一目散に空き地の土管へ…
オジサン猫のファンのもとへ、一生懸命走りました。
空き地に着くと、ファンは猫好きの人間からもらったご飯を食べてる最中…
泣きながら土管の中に飛び込んできたチロを見ると、いつものように優しく涙をペロペロ…
“どうしたんだい”
とチロに問いかけました。
チロは何も言わずファンの前脚をくわえると、ぐいぐい引っ張りはじめました。
“おいおい、いたいよ…あはは…わかった、わかった”
ファンは食事を止めチロについて走り出しました。
おうちに着くまでに、ファンはチロから説明を聞くと
“それはひどいなぁ…”
と一言つぶやいていつもの優しいファンの眼と違う、キッとした目つきにかわりました。
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