≪子猫のチロ≫
チロちゃんが電信柱の蔭からそっと犬小屋を覗くと、幸いボスはお昼寝の最中のようです
チロちゃんは安心してボスの家の前をゆっくり通り過ぎようとしました
クンクン
“ん~っ?…なんだか猫の匂いがするなぁ~”
鼻のいいボスは居眠りしてたのにチロちゃんの匂いに気づき、のっそり起き上がると
“う~っ…
ワンワン”
大きな声でチロちゃんに吠えかかりました
チロちゃんはビックリ
慌てて駆け出しました
かなり走ったところで後ろを振り向くと、どうやらボスは追っかけてはいなかったようです
ホッと一安心のチロちゃんでしたが、無我夢中で走ったおかげで自分がどこにいるかわからなくなってしまいました
途方に暮れて泣き出しそうになったチロちゃんですが、とりあえず走ってきた道をボスがいないかキョロキョロ確かめながら歩きはじめました…
帰り道を歩いていると…
クンクン
“ん…い~にお~い”
チロちゃんの大好きなお魚のにおいです
それと同時に
ぐぅ~~っ
チロちゃんのおなかの鳴る音です
“そう言えばおなかすいたなぁ~”
チロちゃんはいいにおいいに釣られて
ふらふら~
キラリ
美味しそうなお魚がい~っぱい
チロちゃんの目に飛び込んできました
チロちゃんはもう我慢出来ません
たくさん並んでいるお魚のひとつに
ガブリ
“お~いし~い~”
ほっぺいっぱいにほうばってむしゃむしゃ食べ始めました…
すると、突然
ピシーン
チロちゃんは棒のような物で叩かれ吹っ飛ばされてしまいました
起き上がってみると、目の前には新聞紙を丸めた棒をもった人間のおじさんが、チロちゃんを見下ろして怒鳴ってきました
“こーの、ドロボー猫めっ”
ピシーン
チロちゃんは再び叩かれました
“にゃーん”
チロちゃんは痛くて泣きながら悲鳴をあげるのが精一杯で、助けを呼ぶ事もできません
そして3回目がふりあげらたとき
ダダダッ
シャキーン
シュバッ ///
“いてぇーーっ”