<Rain>
にこっと笑って
「この子、借りていいよね?」
私の腕を掴んで引き寄せると
有無を言わせない口調でそう言った。
「?!」
「それじゃ。」
呆然としている生徒たちに
もう一度笑顔をむけると
私の腕を掴んだまま教室から連れ出した。
「あ、あの?!」
「んー?」
「何で、ここに…?」
「は?」
立ち止まってくるっと振り返った三上くんは
なぜか訝しげな顔をした。
「そんなの、あんたを捜しにきたに決まってんじゃん。」
もしかして馬鹿なの?
最後にそう付け足して
また歩き始めた。
…あぁ、神様。
私はどこに連れて行かれるんでしょうか?
これから行く場所も、
これから起こる出来事も、
掴まれているのが腕じゃなくて
いつの間にか手になっていることも、
廻り始めた運命も、
まだ、誰も知らない。