<Rain>
突然投げかけられた質問に、思わずきょとんとしてしまった。
……私、基準がどうとか考えたことないんだけど…。
「ほら、ないじゃん。」
「あ、あるよ!」
「じゃ、何?」
うっ…。
「傘……」
「傘ぁ?」
「傘、いれてくれる人とか……?」
「とか?って、俺知らねぇし。」
ごもっともです。
悩んだ末に出てきたのは、あのとき傘にいれてくれた人。
私にとっては、何でもないことだったけど、端から見れば、あれは優しいに入る……はず、うん。
でも、あれ?
これ私が優しいって感じてないんだから、基準になってなくないか?
んん?
「ちょ、もういいよ。何真剣になってんの。」
ケラケラと笑う浩太郎は、私の頭を軽く突いた。
「ってゆーか、傘いれてくれるなんて、結構良い奴じゃんね?そいつ。」
「浩太郎もそう思う?」
「んー、興味ない。」
自分が今、優しいじゃんねって言ったのに。
はぁとため息をつくけど、浩太郎は無反応。
そして、どこからかジェンガを取り出して遊び始めた。