同棲生活·2
亮二を軽く睨みつけてやった。

器の小さな女かもしれないけど。

そうしないと気がすまなかった。


亮二はそんなあたしに気付くことなく、自分の席に戻って行った。


それからすぐに課長が入ってきて、改めて事務所の人間に笹原さんを紹介していた。


仕事開始のチャイムが鳴る。


「寺原さん、何からしたらいい?」

「あ…っ。えーっと」


笹原さんに聞かれて、しどろもどろになってしまう。

正直、仕事を教えるのは苦手。


「この取り引き先の入力お願いしてもいいですか?」

「この数字を入れていけばいいのね」

「はい。お願いします」

「寺原さん。あたし達、同い年なんだし敬語なんて堅苦しいこと、やめようよ、ね?」

< 20 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop