同棲生活·2
店の中は平日ということもあってか、カップルが二組に落合さんがいただけ。

どうやら落ち着いてるらしい。


「こんばんは。マスター」

「座って座って。仕事帰りに来るなんて珍しいね」


マスターはオレのスーツ姿を見て言う。


「佐伯、何で離れて座ろうとしてるんだよ? 隣来いよ」

「……」


落合さんが手招きしている。

会社の先輩の隣に座るとか普通に嫌なんだけど。

それにマスターに樹里のこと話せないじゃないか。

落合さんに聞かれたくない。

手を叩いて喜ぶのが目に浮かんだ。


「マスター、ビール下さい」

「了解」


オレはカウンター席に落合さんと離れて座った。
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