弱小バスケ部の奇跡
「なにぼぉっと見とれてんの棗! 次は棗がディフェンスだよ?」
いきなり目の前に美凪のどアップ。
言われて気がついた。
あたしは、未希のディフェンスに、プレーに見とれてたんだ。
「ほら棗ちゃん! ディフェンスディフェンス」
「…あ、あぁうん」
蒼乃にも言われ、あたしはやっと蒼乃と向き合う。
ボールを持つ蒼乃に、正直一瞬怯んだ。
なんか、自信に満ち溢れてるっていうか、なんか、そんな表情してて。
あたしはそこを突かれた。
その一瞬を、初心者にも関わらず蒼乃は見抜いたのか、あたしがしっかり前を向いた時には、もう目の前に蒼乃はいなかった。