弱小バスケ部の奇跡




……えーと、まずは左でやってみるか。


もし仮に抜けたとして、その後のドリブルに繋がなきゃいけないから。




……で、確か、足とボールを前に出す──



「…はっ!」





………やってから、自分でもわかってしまった。



完全なるロボット状態。


ぎこちないし、フェイクに引っかかるどころか目を見開く目の前の美凪。





「……ふっ、あははっ」


途端に、盛大に笑い出す美凪。



…えぇ、どうぞ笑ってください。

無言で見られるよりかはずっとましです。


思う存分笑ってください。





ひとしきり笑った美凪はこう言った。



「胡散臭い!」





「………。」



今まで生きてきて、初めて『胡散臭い』って言われた。





< 175 / 332 >

この作品をシェア

pagetop