弱小バスケ部の奇跡
……えーと、まずは左でやってみるか。
もし仮に抜けたとして、その後のドリブルに繋がなきゃいけないから。
……で、確か、足とボールを前に出す──
「…はっ!」
………やってから、自分でもわかってしまった。
完全なるロボット状態。
ぎこちないし、フェイクに引っかかるどころか目を見開く目の前の美凪。
「……ふっ、あははっ」
途端に、盛大に笑い出す美凪。
…えぇ、どうぞ笑ってください。
無言で見られるよりかはずっとましです。
思う存分笑ってください。
ひとしきり笑った美凪はこう言った。
「胡散臭い!」
「………。」
今まで生きてきて、初めて『胡散臭い』って言われた。