弱小バスケ部の奇跡
和香があたしの肩をゆっさゆっさする。
「棗ちゃーん、落ち着いてぇー」
「あーはいもう大丈夫ですからその手離してくださいます?」
「はーい♪」
あのね、これ意外と痛いのね。
首もげそうになるほど揺さぶらないで。
「…で、棗、なんか知ってるの? T中のこと」
美凪があたしに尋ねる。
あたしは首を横に振る。
「いや、ただ、その石川 千鶴って人、あたし知ってるなぁって」
「えっ?!」
美凪はあたしの顔をずいっと覗き込む。
「じゃ、プレースタイルとかわかる?!」
あたしはまた首を横に振る。
「だって、あたしの知ってる千鶴は、バスケやるような子じゃなかったもん。だから、びっくりして…」
「……あー、そういうこと」
うっわ。
この人あからさまに『役立たず』って顔した。
サイテーサイテー
「…じゃ、なんにもわかんない状態で試合すんのか」
未希が腕組みをする。
「……そういうこと、だよね…」
和香も表情を曇らせる。
「……」
蒼乃は黙ってるし。