弱小バスケ部の奇跡
あの頃と変わらないロングヘアを高い位置で結び、振り返ったその人は、紛れもなく〝石川 千鶴〟のはず。
仲は悪くなかったはず。
………それなのに、振り返った〝その人〟はあたしを冷たい言葉と共に突き離した。
あたしは少し動揺しながらも、平静を保って話を続ける。
「今日はよろしく」
そう言って差し出した右手。
あの頃は、ちゃんと握り返された、あたしの小さな手。
───パシッ
「…中学でも、その〝友達ごっこ〟するわけ? 笑わせないでよ」
千鶴は、踵を返してベンチに向かって行った。
あたしの右手は、〝あたしの知らない千鶴〟に振り払われた。