弱小バスケ部の奇跡
「だから中体連出てないのよね。コートの外から、叫びながら応援してた。内心、すっごい悔しかったけど」
そりゃそうだ。
努力してきたのに、それが怪我のせいで水の泡なんて………。
今あたしがそうなったら、なんて考えたくもないけど、あたしだったら無理にでもやりそう。
「…一生懸命練習してる棗を見たら思い出してね。話しちゃった」
母さんは、ふふ、と笑う。
「棗、残りの1週間ちょっと、本当に大事に過ごしな。特に、この4ヶ月間は、棗にとって一生もんの宝物になるから。美凪ちゃん、未希ちゃん、蒼乃ちゃん、和香ちゃん。みんながいたからこそ、ここまでやってこれたんだからね」
「…ん、うん」
そうだ。
あたしひとりでここまでやってきたわけじゃない。
みんながいたからこそ、今のあたしがいる。