弱小バスケ部の奇跡
母さんは「よし」と言い立ち上がる。
「最初で最後の試合なんだから、勝ってもらわなきゃ。母さんも、中学戻った気になって、棗の練習手伝うよ」
そう言ってまた、穏やかに笑う。
あたし、母さんが母さんでよかった。
なんか、心からそう思った。
「ほら、棗はスリーポインターなんでしょ? 母さんディフェンスやるから、ちょっと打ってみなよ」
「っちょっとナメないでよ!? あたし現役なんだから!」
なんかあたし、思ったんだ。
母さんが中体連出れなくて悔しかった想いをあたしが一緒に担いで、それであたしが頑張って、母さんが見てくれたら、なんか、母さんも出てる気になれるかなって。
なんか、ちょっとクサいかもしんないけど、本当にそう思ったんだ。