弱小バスケ部の奇跡
「…中体連いつだと思ってんの? 今週なんだよ? なのに、今になってまだリバウンド1つできないやつのほうが、よっぽどおかしいと思わない?」
「だから、あたしが言ってるのはそういうことじゃなくて…っ
「棗ちゃん……もう、いいよ、ありがと」
「…え?」
振り返ると、ゆっくりと立ち上がった和香は、そのまま出口に向かって歩いていく。
「…もう、いいよ。和香は、どうせ、未希ちゃんみたいにすぐにできないから。だから、バスケ部、辞める」
「ちょっと和香!?」
起き上がった美凪が、和香を追いかける。
「美凪ちゃんも、今までありがとう。棗ちゃんも、蒼乃ちゃんも」
「ちょっと和香っ
「サヨナラっっ!!!!!」
和香は顔をくしゃくしゃにしながら、そう叫んだ。
そして、すぐに走って行ってしまった。
「和香っ、和香っっ!!!」
あたしと美凪と蒼乃で必死に和香を追いかけたけど、昇降口には、もうすでに和香の姿はなかった。