弱小バスケ部の奇跡
ひとしきり和香が大爆笑し終わると、廊下の向こうからエナメルバッグを肩にかけた影が近づく。
「もう、昇降口にまで和香のバカ笑い聞こえてた! 朝からうるさいっつの!」
「あっ、未希ちゃん、おはよぉ」
「…人の話聞いてた?」
影の正体は、原 未希(はら みき)。
超運動神経抜群。
足の速さはほんとに半端ない。
………因みに、リア充ですこの子。
お相手は、同じクラスの中田 拓人(なかた たくと)。
「こーえーがーデーかーいーの!」
「あっ、ごめーん」
「〜っ」
和香の返答に、眉を顰める未希。
〝キーンコーン〟
「始業式始まるから椅子持ちで体育館ー」
廊下の先から先生が声を張り上げる。
「…行こ! 体育館」
あたしが声を掛けると、蒼乃、和香、美凪、未希はそれぞれ頷いた。
…いよいよ、最後の1年が始まる──