弱小バスケ部の奇跡
バスケ部一同、開いたドアに視線を移した。
「……え………っ」
思わず目を見開く。
開いたドアの向こうにいたのは、紛れもなく、あたし達M中の先生達。
担任と、それぞれの教科担任、さらには校長と教頭までもが、そこに立っていた。
───どういうことだ…?
あたし達は声を失って、ただ先生達を見ていた。
「…中体連、といったね」
口を開いたのは校長。
「……は、い」
美凪も、予想していなかったこの光景に驚いているようだ。
「参加費、私達に任せなさい」
「「「「「っえ…?!」」」」」
再び、予想しなかったことに、あたし達は声を揃えた。
私達に任せなさい、って………
「……君達にとって、中体連とは、最初で最後の大会。君達の集大成。それを素晴らしいものにするために、私達も是非協力したい。大事な、我がM中の最後の生徒だから」
校長はすごく穏やかに笑った。
「参加費は、私達に任せてください。そして君達は、中体連に向けて努力してください」
校長が、キャプテン美凪に手を差し出す。
美凪はその手を、考えたようにしばらく見つめたままだったが、やがてゆっくりとその手を握った。
「…はい、ありがとう、ございます…!」
美凪に続いて、美羽ちゃんを含めたあたし達も頭を下げる。
初めて、校長がいい人だと思った。