弱小バスケ部の奇跡
美凪が、早速今日のメニューを言う。
「今日から本格的にディフェンス練習を始めます。ウチらはマンツーマンでディフェンスするから、1人1人が責任を持って守らなきゃいけない」
マンツーマンディフェンスとは、1人のオフェンスに対して1人のディフェンスがつく、というもの。
「じゃあ、まずはディフェンスの基本姿勢から。皆、もうできるよね?」
あたし達は5月の最終週で、ディフェンスの基本姿勢を練習した。
腰を低く、膝を曲げて、オフェンスが向かう方の手は上げて、逆の手はドリブルカットのために下に下げる。
「…よし、皆さすが! たった数日でちゃんとできるようになった!」
美凪がそう言うと、見ていた美羽ちゃんが小さく拍手する。
「じゃあ、これにオフェンスをつける。試合と同じように」
美凪は「まずは、未希、棗がオフェンス。今までやったドリブルの技、できるだけ使って」と言った。
未希にボールをひょいっと投げられ、慌ててキャッチ。
「未希には和香、棗には蒼乃がディフェンスね」
「はーい」
「よーっし、来い! 棗ちゃん」
「おぉっ、蒼乃、気合い十分だね」
美凪がくすりと笑った。