弱小バスケ部の奇跡
誰もが右に行くと思ったに違いない。
のに───
あたしの頭の中で、今の未希のプレーが何度もリピートされる。
今のって……一体…………
「っ、未希…フェイク、できるの……?」
尋ねる美凪に、未希は親指を立ててニカッと笑った。
「あったりめーよ。PGになったんじゃ、フェイクの1つや2つできなきゃ」
〝フェイク〟
あたしの頭の中で、今度はそれが回り出す。
「みっ、美凪」
気づいたら、口が開いてた。
「フェイクって…」
美凪はハッとしたように、あたしに視線を移した。
「今、未希がやったやつ。右に行くと見せかけて実は左に行く、っていう。いわゆる、騙しってやつ」