弱小バスケ部の奇跡
美凪は、あっ、と小さく叫び、パチンッと指を鳴らした。
「そうだ! これだ、フェイクだ!!」
「…は?」
未希は怪訝な顔で美凪を見る。
「棗ッ、棗もフェイクできるように練習しよ!」
「…ぅえぇっ?!」
あっ、あたしが?!
「スピードあるドリブルで、プラス、フェイクができれば、1対1は絶対勝てるッ!」
美凪の目はキラキラ光り輝いている。
「……あ、あのー」
「ん? なぁに?」
あたしは美凪のジャージの袖を引っ張る。
「じゃあまず、スピードあるドリブルの練習さして」
だってその、フェイクをやるには、スピードなきゃいけないんでしょ?
あたしはまだドリブルに慣れたばっかで、速いドリブルはできない。
だから、
「1日、時間ちょうだい」
今日家帰ったら、真っ先にドリブルの練習するよ。