弱小バスケ部の奇跡
下に降りると、顔をしかめた母さんの姿。
「なによ棗。ただいまも言わないで」
「ごめん!」
あたしが謝ってるうちに、母さんの視線はあたしの手の中のバスケットボールに注がれている。
「…それで、なにするの」
あらやだお母様。
見りゃわかるでしょ、バスケよバスケ。
「ドリブルの練習しに…」
言ってから、しまった、と思った。
普通、我が家の常識的に考えれば、こんな7時過ぎに外出歩いたら怒られるに決まってる。
でも、なに言われても練習する気でいる。
だって、あの、フェイクをマスターするためにね。