君だけの星へ
それから早瀬さんは、いたってあっさりとこう言い放ったのだ。



「世莉ちゃん、智のことすきなんだね?」

「っう、は、え……っ?!」



思わず、紅茶を吹き出しそうになってしまった。

ごめんごめん、とあまり悪びれた様子もなくそう言ってから、彼はまた口を開く。



「なんとなく、ね。ふたりを見ててわかったよ」

「べ、別に、わたしは……」

「あはは。いくら俺が智と友達だからって、わざわざ告げ口なんかしないから隠さなくてもいいよ」



そう笑って話す彼は、完全にわたしの気持ちを確信しているようで。

無駄な抵抗だと諦めたわたしは、カチャリと小さく音をたててカップを置いた。



「……そんなに、わかりやすいですか」

「さあ、どうだろうね。案外本人は気づかないんじゃないかな」



恥ずかしさでうつむいているわたしとは対照的に、向かいの早瀬さんはどこか楽しげだ。

そのままの表情で、「どんなところがすきになったの?」なんて訊ねてくる。



「ど、どんなところ、って……」

「ほらほら、お兄さんに話してごらんー?」

「お、お兄さん……」



ふぅ、と自分を落ちつかせるようにひとつ息をついて。

それから、わたしは控えめに言葉を紡いだ。
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