君だけの星へ
「世莉ちゃんは、まっすぐだね。まっすぐで、純粋で、大人のずるさなんてまだ知らなくて」

「な、そ、そんなこと」

「──だから俺は、君が智にとって大切な人になってくれればと思う」



え、と呟くわたしの前には、やけに真剣な顔でこちらを見つめる早瀬さん。

とっさに顔をあげてしまっていたわたしは、思わず疑問に満ちた表情でそんな彼を見返した。



「早瀬さん……?」

「ずっと、考えてたんだ。あいつには、ちゃんと前に進んでほしい」

「あの、どういうことで……」

「ごめんね、今は話せないから……訳がわからないと思うけど。きっとそのうち、知るときが来ると思う」



少しだけ、苦しそうにそう言った早瀬さんは。

真摯にわたしを見つめていた視線を、真っ黒なコーヒーに落とした。



「……あいつの心は、4年前に置き去りのままなんだ」
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