君だけの星へ
「なんか、早瀬さんってすごい人ですね……」

「最初っからああだよ、あいつは」



カフェを出た後、早瀬さんの後ろ姿を見送ったわたしたちは、そんな会話を繰り広げていた。

ため息まじりの桐生さんの言葉を聞いて、わたしは小さく首をかしげる。



「桐生さんと早瀬さんって、いつからお友達なんですか?」

「……大学生んとき。学科は違ったけど、サークルが一緒だったんだ」

「サークルって……前に言ってた、星の?」

「ああ。天文サークルっつって、よく夜に天体観測とかしてたけど……あいつの場合、暗闇にまぎれて女と何やってんのかわかったもんじゃなかったな」

「へ、へぇ……」



は、初めて見た。あれがウワサの、プレイボーイってやつか……。

半ば感心しながら、早瀬さんが消えた方向をぼんやり見つめていると。

桐生さんが歩きだしたので、わたしも慌ててその後を追った。
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