君だけの星へ
Star.5
『4年前』
『会って、知って、愛して、そして別れていくのが幾多の人間の悲しい物語である。』
コールリッジ
◇ ◇ ◇
数日後。
わたしはまた、あのカフェに来ていた。
「こんなに早く、呼び出されるとは思わなかったな」
あの日と同じようにコーヒーを飲みながら、早瀬さんは笑みを浮かべてそう言った。
向かいに座るわたしは、視線をテーブルの上のカップに落としてそっと唇を噛む。
──昨日の夕方、早瀬さんに『近いうちに会えますか?』とメールをした。
それに対する返信は、『いいよ。なんなら明日にでも』。
そういうわけでわたしたちは、彼の家から近いというこのカフェで、再び顔を合わせている。
「……あの、早瀬さん。わたしが今日、早瀬さんを呼んだのは……」
「わかってるよ。……智のこと、でしょ?」
わたしの言葉を先回りして、早瀬さんは首をかしげた。
それにうなずいたわたしは、緊張をごまかすように紅茶を一口飲む。