君だけの星へ
「智は──……4年前に、最愛の人を亡くしたんだ」

「え」

「交通事故だった。雨の日に、スリップした車に巻き込まれて……」



その頃を思い出したのか、ふっと、早瀬さんが視線を落とす。

わたしは呆然と、彼の言葉を聞いていて。



「本当に、仲が良いふたりでね。高校時代から付き合っていたんだって。同じ天文サークルの俺らがからかう気も起きないくらい、いつも当たり前のように一緒にいた」

「………」

「だけど、あの日……サークルで泊まりの天体観測に行って、地元に帰ってきた日。ワゴンを降りた彼女が、横断歩道を渡っているとき……彼女の身体と青い傘が、一瞬で吹っ飛んだ」



口ぶりからして、きっと早瀬さんは、ワゴンからその光景の一部始終を見てしまったのだろう。

ぐっと、テーブルに置いた手をきつく握りしめた彼は、少しだけ息をつく。
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