君だけの星へ
「え……?」

「そのまんまの意味だよ。世莉ちゃんなら、大丈夫だと思ったんだ」



にっこり、やはり笑みを浮かべる早瀬さんに、わたしはそれ以上何も言えなくなってしまう。

すると今度は、彼の方から口を開いた。



「……世莉ちゃんは?」

「え?」

「これで、智の過去を知っちゃったわけだけど……気持ち、変わった?」



そう訊ねてくる早瀬さんの表情は、なぜか不安げだ。

そんな彼にちょっとだけ笑って、わたしはカップを両手で包みこみ、中の液体を見つめる。



「……もっと、すきだって思いました」



わたしの言葉を聞いた彼は、安心したように、やわらかく微笑んだ。
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