君だけの星へ
「? なぁに?」

「昨日、お店を掃除しているときに見つけたんだよ。カウンターの下に潜りこんでたから、今まで気づかなかったみたいなんだけど」



おじいちゃんがそんなことを言いつつ、何かを差し出した。

不思議に思いながら、わたしはそれを受け取る。

視線を落としてみると、それは1枚の写真だった。



「──ッ、」

「その写っている右側の男性は、桐生さんだよね?」



おじいちゃんの、言葉通り。

中心に写っているふたりのうちの片方は間違いなく、今より少しだけ幼い桐生さんだ。

そして、その左側でしあわせそうな笑顔を見せている女性は、きっと──。



「もしかして、前に本を預かったときにまぎれてしまっていたのかな。世莉ちゃん、謝って返しておいてもらえるかい?」

「……うん、わかった」



いつまでも眺めていてしまいそうな衝動を耐えて、写真をかばんにしまう。

今度こそ手を振って、わたしはおじいちゃんの家を出た。
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