君だけの星へ
「──ッあ、」



ハッとしたわたしは、急いでその文章をルーズリーフに書き写した。

そしてそれを掴み、慌てて教室を出る。



「……せっ、先生っ!!」

「ん?」



わたしが大きめの声で呼び止めると、廊下を歩いていた先生は足を止めて振り返った。

綺麗な髪をバレッタで留めているその先生は、たった今わたしのクラスを出たばかりの英語の担当教師だ。



「望月さんどうしたの? そんなに慌てて。私の授業中は、あんなにぼんやりしていたのに」

「う、気づいてたんですか……」



耳に痛い言葉に、思わず目を泳がせる。

当然よ、と呟いた先生は、得意げに笑みを浮かべた。



「それで、本題は?」

「……あの、これなんですけど……」



わたしはおずおずと、ルーズリーフを差し出す。

整えられた綺麗な手が、それをさらった。
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